私が日本に住んで、日本人について思ったのは、冷たくて薄情で、ものの考え方
が道理に適ってない割に偏屈な人種だということでした。これは日本に住む外国
人ほとんどに共通する考え方です。そして今でも、偏狭な人は少なくないし、全
く「非論理的」だというのが当てはまる人はたくさんいると思っています。でも
「冷たくて薄情」に関しては、他の人種に比べてとくにそうだというわけではな
いと、今では思います。外国人には、第二次大戦中に日本軍の犯した残虐行為を
理由に、日本人みんなを嫌う人もいます。わたしもこのことに関しては本当に悲
しく思います。なぜならある意味で両方の側の事情が分かるからです。最近(平
成10年11月末)、日本軍の捕虜にされた退役軍人のグループが日本政府を相手に
闘っていた訴訟が、日本の高等裁判所で棄却されました。その時、裁判官の口か
らは、「確かにつらい思いをしただろう」というような理解を示す言葉さえ聞か
れませんでした。判決が下されたあと、テレビには目に涙を溜めた英国人退役軍
人の姿が映し出されていました。日本の政治家は、第二次大戦で日本軍が犯した
悪事の存在をいまだに公式に認めることすらしません。そうすることは、日本社
会では悪でしかないのです。 これを証明するケースはいくらでもあります。
最近、中国の江沢民首席が日本を公式訪問したときのことです。この時も、日本
の小渕恵三首相は、第二次世界大戦中日本軍が中国で働いた残虐行為について、
はっきりと、躊躇なく公式謝罪することはできませんでした。
いわゆる「従軍慰安婦(sex slave)問題」に関しても、日本政府はその責任を取
ろうとはしていません。元慰安婦の女性による訴訟は、次から次へと日本の裁判
所で棄却されています。民間のボランティアグループは、このような女性たちを
「もしこれ以上の訴追を止めるという文書にサインすれば」、「援助する」とい
うことです。このボランティアグループは、日本政府が彼女たちを黙らせようと
助成しているものです。彼女たちのほとんどは、この「口止め料」を受け取るこ
とを拒否しました。 しかし日本もまた戦争の被害者であることを忘れてはな
りません。跡形もなく破壊された東京の街や、原爆の落とされた広島や長崎のこ
とを・・・原爆の後遺症に苦しむ人は今なおいます。日本人は、戦時中日本軍や
官僚たちの犯した罪に対し、高い代償を支払うことを余儀なくされました。この
話題の最後で私が言いたいことは、世界中の近代先進工業国で、残虐行為を働い
た歴史のない国などない、それに対する謝罪や補償を、受け取った人は全くいな
い、と言うことです。聖書にこうあるではないですか、「 普通の日本人に
は、誰でもどんな人種の人間でも持つような感情があります。ただ彼らは小さい
ときからその感情を表に出すことを止められて育ったため、いつも心のうちに秘
めているのです。そのせいで精神に異状をきたしたり、早すぎる死を選ぶ人も多
いのです。
日本のある人気歌手が自殺したとき、たくさんの若い女の子が彼の後を追おうと
自殺を図り、未遂に終わらなかった人も2、3人いました。これは、命の大切さを
知らず、簡単に死を選んだり、自分を大切にすることを知らず、悪の道へと走っ
てしまうような若い人が多いことを物語っているのかもしれません。その責任
は、日本社会、家族、どちらにあるのでしょうか?私は両方だと思います。
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